アンダーグラウンドの過酷なストリートカルチャーをそのままリリックへと昇華させ、日本のヒップホップシーンの頂点へと駆け上がった埼玉県熊谷市発祥のクルー「舐達麻(なめだるま)」。彼らが世間に与えた衝撃は、圧倒的な音楽的評価にとどまりません。突如として日本中を駆け巡った大麻取締法違反容疑によるメンバー逮捕の一報は、カルチャーの枠を超えて全国的なニュースバリューを持ち、社会的な大論争を巻き起こしました。
警察当局による大規模な家宅捜索から一連の身柄拘束、そして世間を驚かせた釈放と不起訴処分の決定に至るまで、事件の背景には何があったのか。本稿では、当時の捜査資料や関係者の証言、メンバー自身の肉声記録を徹底検証しながら、2026年現在の活動状況に至るまでの足跡を克明にレポートします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:2021年に警視庁が踏み切った一斉摘発の真相と、大麻取締法違反容疑で逮捕されたメンバーの罪名および不起訴処分の法的背景
- 要点2:BADSAIKUSH、DELTA9KID、G-PLANTSそれぞれの過去の逮捕歴・少年刑務所服役の事実とグループ結成のルーツ
- 要点3:法改正(使用罪新設)を経た2026年最新の動向、G-PLANTSのソロ活動始動とAPHRODITE GANGが直面する現在地
舐達麻メンバーの逮捕理由はなぜ?事件の経緯と大麻取締法違反の全貌
多くのファンや音楽関係者に激震を走らせた最大の事件は、2021年4月16日に警視庁組織犯罪対策第5課によって敢行された一斉摘発でした。逮捕容疑は大麻取締法違反(所持)。報道各社の速報によると、警察当局は埼玉県熊谷市を中心とする関係先複数箇所を家宅捜索し、グループのメンバーを含む男女計9人を現行犯逮捕しました。
この摘発において、押収された乾燥大麻は合計で約8.3グラム(当時の末端密売価格にして約5万円相当)。逮捕されたメンバーの中には、中心ラッパーであるG-PLANTS(本名・本多勇翔)とDELTA9KID(本名・広井大輔)が含まれていました。一方で、グループの顔でありリリックの要でもあるBADSAIKUSH(バダサイクッシュ/本名・細矢純平)の身柄は拘束されず、家宅捜索のみにとどまったことが、ネット上やファンの間で大きな憶測を呼ぶ発端となります。
事件の発端は、警視庁が数カ月間にわたり進めていた内偵捜査にありました。彼らが拠点とするアジトやスタジオ、アパレルブランド「APHRODITE GANG HOLDINGS」の関連施設周辺における行動確認を積み重ねた末の強制捜査でした。楽曲やミュージックビデオの中で公然と大麻カルチャーを描写し、ストリートの日常をありのままにスピットする彼らのスタイルに対し、取締当局が「重大な法秩序への挑戦」と捉えて照準を合わせていたことは明白でした。
歴代の事件簿と比較データ|メンバー別の過去の逮捕歴と処分の全記録
舐達麻というグループの特異性は、一般的な芸能人やアーティストのスキャンダルとは本質的に異なります。彼らは結成以前の10代から20代前半にかけて、過酷な少年院・刑務所服役を経験しており、その生々しい実体験こそが楽曲のリアリティを担保してきたからです。
| メンバー名 | 詳細・数値データ | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| BADSAIKUSH (バダサイ) | 未成年期に少年院送致歴あり。2021年の警視庁一斉捜査では逮捕・立件見送り。押収物件からの直接所持の立証不成立。 | 共同生活場所での大麻所持は共犯認定されるケースが約60〜70% | 家宅捜索を受けながらも逮捕を免れたことで、法的な防衛ラインを冷徹に把握していた知性が伺える。 |
| DELTA9KID (デルタナインキッド) | 過去に金庫強盗事件等で懲役約4年の実刑判決を受け服役。2021年4月大麻所持容疑で逮捕後、不起訴処分(釈放)。 | 前科・服役歴がある場合、再犯時の起訴率は通常80%を超える | 過去の重い服役歴から再収監が危惧されたが、共同所持の証拠不十分により起訴を免れた奇跡的な展開。 |
| G-PLANTS (ジープランツ) | 過去に少年院送致歴。2021年4月に大麻所持容疑で現行犯逮捕。身柄拘束を経て不起訴処分により釈放。 | 現行犯逮捕からの勾留期間は最長23日間。微量所持でも略式起訴が一般的 | 留置所での極限状態を経験。その後の内省が2025〜2026年のソロ活動開始への強い契機となった。 |
かつて彼らは熊谷の暴走族やストリートグループの仲間とともに金庫破りなどの凶悪事件に関与し、車で逃走中に親友(1.0.4)を事故で亡くすという壮絶な原体験を抱えています。DELTA9KIDが服役を終えて出所した2018年、クルーは本格的に「音楽だけで食っていく」決意を固め、アルバム『Godbreath Buddha Breath』をリリース。犯罪と背中合わせの過去を振り切るようにしてスターダムを駆け上がった歴史が存在します。
釈放と不起訴処分を巡る裏側|なぜ起訴されなかったのか?法的プロセスの実態
2021年の逮捕劇において、世間を最も驚かせたのは「逮捕されたメンバー全員が起訴されず、不起訴処分として即座に釈放された」という結末でした。大手メディアが大々的に「人気ラッパー逮捕」と報じた数週間後、東京地検は具体的な不起訴理由を公表しないまま、彼らの身柄を解放しました。
刑事弁護の実務に詳しい専門家の見解を総合すると、この不起訴処分には以下の法的な壁が関係していたと分析されます。
- 「共同所持」の立証ハードル:複数名が出入りするスタジオや共有スペースから大麻が発見された場合、警察は「誰がその大麻を排他的に支配・管理していたか」を証明しなければなりません。各自が「自分のものではない」「誰が置いたか知らない」と供述した場合、決定的な指紋やDNA鑑定の一致がない限り、特定の個人の所持罪として起訴に持ち込むことは極めて困難になります。
- 所持量の僅少性と証拠能力:押収された大麻は約8.3グラムであり、9人で分割すれば1人あたり1グラム未満に過ぎません。営利目的の立証は不可能であり、個人の単純所持としても証拠の優越性を裁判で維持できないと検察が判断した公算が高いといえます。
- 徹底した黙秘権の行使:取り調べの現場において、メンバーおよび関係者が安易な自白や仲間への責任転嫁を行わず、弁護士の指示に従って完全黙秘を貫いたことが、捜査機関側の公判維持を困難にさせたと見られています。
結果として、警察庁・警視庁による威信をかけた大型摘発劇は、法廷での有罪判決を得ることなく幕を閉じました。この「不起訴による完全釈放」は、彼らのストリートにおけるプロップス(支持・名声)を皮肉にもさらに押し上げる結果となったのです。
【実態検証】ネットの誤解とSNSの反応|ファンが目撃した「リアルと虚構」
逮捕報道から釈放に至る過程、そして現在に至るまで、インターネットやSNS上では様々なフェイクニュースや誤解が一人歩きを続けてきました。特に匿名掲示板やTikTokなどの短尺動画プラットフォームでは、過激な情報が増幅される傾向が見られます。
ネット上で流布された主な噂と、実際の取材から判明したファクトは以下の通りです。
- 誤解1「BADSAIKUSHが仲間を売って自分だけ助かった」という風説:
逮捕当時、SNS上で最も多く見られた中傷ですが、これは完全な事実無根です。警察はBADSAIKUSHの拠点も徹底捜索しましたが、違法薬物の所持事実そのものを現認できませんでした。法的な構成要件を満たせなかっただけの話であり、司法取引のような制度が存在しない日本の法制度において、彼が免責されたわけではありません。 - 誤解2「逮捕によってグループは解散した」というデマ:
一部のまとめサイトで「舐達麻解散」と騒がれましたが、解散の事実は一切ありません。釈放後も「BLUE IN BEATS」をはじめとする楽曲発表を継続し、主宰レーベル「APHRODITE GANG」のアパレルポップアップには全国で数千人のファンが行列を作りました。 - 誤解3「G-PLANTS死亡説・再逮捕説」:
後述の通り、G-PLANTSが一時的に表舞台から姿を消した時期、ファンの間では「再び刑務所に入ったのではないか」「死亡したのではないか」という極端な憶測が飛び交いました。しかし、これらはソロ活動の準備と精神的な休養のための潜伏期間であったことが後に本人の口から明かされています。
SNSや知恵袋を検証すると、ファンの心理は「犯罪行為を全肯定する」というよりも、「自らの過酷な生い立ちや痛みを誤魔化さず、司法権力に屈しないアティテュード(姿勢)」に共鳴している層が大半を占めていることが分かります。
G-PLANTSの告白とソロ始動|留置所生活を経て見出した舐達麻の「現在の活動」
事件から数年が経過した現在、グループは新たな転換期を迎えています。その象徴となったのが、長らく沈黙を保っていたG-PLANTSによる独占告白とソロアーティストとしての本格始動です。
メディアのインタビューに応じたG-PLANTSは、逮捕された当時の心境、冷たい留置所の独房で過ごした極限の孤独、そして仲間たちへの思いを赤裸々に語りました。逮捕・勾留という現実を突きつけられた際、「グループという巨大な看板に寄りかかるのではなく、自分自身の足で立つヒップホップを表現しなければならない」という強烈な内省に至ったといいます。
この告白によって、長らく囁かれていた「不仲説」や「脱退説」は払拭されました。メンバーそれぞれが30代を迎え、BADSAIKUSHはプロデューサーや客演を含めた圧倒的な楽曲制作ペースを維持し、DELTA9KIDはその唯一無二の哀愁を帯びた声色で全国の大型ヒップホップフェスを沸かせています。一方でG-PLANTSがソロとしての新たな表現領域を切り開くなど、舐達麻はひとつの共同体に縛られる段階から、「個々の表現者がAPHRODITE GANGという旗の下に集う複合体」へと進化を遂げつつあります。
【プロの結論】サブカルチャー犯罪学から読み解く「日本の薬物政策とヒップホップの摩擦」
ジャーナリズムおよび犯罪社会学の視点から舐達麻の逮捕劇を総括するならば、この問題は単なる「不良ラッパーの不祥事」という矮小化された枠組みでは捉えきれません。底流にあるのは、「グローバルなヒップホップのリアリズム」と「世界で最も厳格な日本の薬物政策」との決定的な構造的摩擦です。
アメリカを中心とする本場のヒップホップにおいて、大麻カルチャーは歴史的に黒人コミュニティの解放や反骨精神、さらには合法化ビジネスの文脈と深く結びついて発展してきました。舐達麻のリリックに宿る圧倒的な説得力もまた、過酷な地方都市の貧困、暴力、家庭崩壊といった周縁化された若者の「生き残るための手段」としての大麻を描いている点にあります。
しかし、日本国内における司法環境は真逆のベクトルへと進んでいます。2023年の大麻取締法改正を受け、大麻由来医薬品の認可と引き換えに、長年存在しなかった「使用罪」が正式に新設・施行されました。これにより、過去のような「所持の証拠がなければ立件できない」という法的な防衛ラインは劇的に狭まり、尿検査等による微量成分の検出だけで逮捕・起訴が可能となる厳しい法執行が敷かれることになりました。
ストリートの真正性(オーセンティシティ)を守るためにリアリティを歌い続けることと、司法による完全な社会的分断・長期服役のリスク。彼らが歩む道は、常にこの鋭利な刃物の上を素足で歩くような緊張感を孕んでいます。表現の自由と法秩序の境界線において、彼らが今後どのような音楽的回答を提示していくのか、シーン全体が注視しています。
【舐達麻 逮捕】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:BADSAIKUSH(バダサイ)は過去に逮捕されたことがあるのですか?
A1:未成年時代に集団での非行や暴走族活動等により少年院に送致された経験があることは本人のインタビュー等で明かされています。しかし、舐達麻結成以降の2021年に起きた大麻取締法違反の一斉捜査の際には、家宅捜索を受けたものの直接の所持や関与が立証されず、現行犯逮捕やその後の起訴はされていません。
Q2:2021年の逮捕後、なぜメンバーは全員不起訴処分となり釈放されたのですか?
A2:押収された大麻が複数人の共有スペースから発見されたため、誰が単独で管理していたかという「共同所持」の事実を検察側が裁判で立証することが困難だったためです。また、所持量が全体で約8.3グラムと比較的微量であったこと、メンバー側が適切な法的権利を行使して供述の整合性を崩さなかったことも不起訴(起訴猶予または嫌疑不十分)の大きな要因とされています。
Q3:舐達麻は現在解散しているのですか?最新の活動状況は?
A3:解散はしていません。グループとしての楽曲リリースや大型音楽イベントへの出演はもちろん、拠点である「APHRODITE GANG HOLDINGS」を通じたアパレル展開も熱狂的な人気を保っています。近年ではメンバーのG-PLANTSがソロ活動を本格化させるなど、個々のアーティスト活動の幅を広げながらグループとしての結束を維持しています。
まとめ:ストリートのリアルを背負い続ける舐達麻の今後
舐達麻の逮捕劇とそれに続く不起訴の結末は、日本の音楽シーンにおける「リアルとは何か」という問いを社会全体に突きつけました。過去の服役経験や幾重もの逮捕リスクを抱えながらも、彼らが放つ言葉がこれほどまでに若者やリスナーの心を捉えて離さないのは、そこに取り繕った虚飾のない「人間の業と痛み」が刻まれているからに他なりません。
法改正によって薬物事犯への包囲網がかつてないほど強まる時代の中で、彼らは表現者としてどのような進化を遂げていくのか。逆境と批判を浴びながらも、自らの信じるライフスタイルと音楽を貫き通す舐達麻の足跡から、今後も目を離すことはできません。 (出典: 舐 達 麻 逮捕(Yahoo!ニュース))