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和を以て貴しとなす読み方はどっち?とうとしの真相と十七条憲法

2026年10月14日 読了目安: 3 分 Sakuya Amamiya
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和を以て貴しとなす読み方はどっち?とうとしの真相と十七条憲法
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ビジネスの朝礼や座右の銘、歴史の授業などで誰もが一度は耳にする「和を以て貴しとなす」。しかし、実際に口頭で発音しようとした際、「わをもって『とうとし』となす」なのか、それとも「『たっとし』となす」なのか、一瞬迷った経験を持つ人は少なくありません。

聖徳太子(厩戸皇子)が制定した「十七条憲法」の第一条冒頭として語り継がれるこの言葉は、単なる読み方の問題にとどまらず、原典である中国の古典『論語』との深い関わりや、後世の日本人が抱いてきた「重大な誤解」を内包しています。言葉の正しい響きと、そこに込められた統治思想の本質を紐解きます。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
  • 要点1:読み方は「とうとし」「たっとし」の双方が正統な日本語として認められており、辞書や文脈による優劣の差はありません。
  • 要点2:「和を以て貴しとなす」の続きには「忤(さか)ふること無きを宗とせよ」と続き、波風を立てない事なかれ主義ではなく「徹底した対話」を求めています。
  • 要点3:原典である『論語』の規範を取り入れつつ、豪族の武力抗争を鎮めるために編み出された「国家統合の合意形成ルール」がその真相です。

【読み方の真相】「とうとし」と「たっとし」はどちらが正しいのか?

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結論から整理すると、「わをもってとうとしとなす」「わをもってたっとしとなす」のどちらを読んでも間違いではありません。大手辞書や教育現場の資料においても、双方が正解として扱われています。

日本語の歴史的変遷を辿ると、形容詞「貴し(尊し)」の古語は「たとし」「たとけし」であり、平安時代以降に促音便化して「たっとし」となりました。さらに、母音変化(ウ音便化)によって「たうとし」へと推移し、現代仮名遣いの発音である「とうとし」へと定着していった経緯があります。

『広辞苑』(岩波書店)や『日本国語大辞典』(小学館)などの主要な大型国語辞典を確認すると、項目としては「和を以て貴しと為す」を見出しに掲げ、読み仮名に「わをもってとうとしとなす」を採用しつつ、補足として「たっとし」とも読む旨を明記しています。一方で、文部科学省の検定教科書(中学校・高校の日本史や古典)においては、歴史的仮名遣いや伝統的な訓読の慣例を重んじて「たっとし」にルビを振るケースも目立ちます。

現代の日常会話やスピーチで口頭発信する場合は、聞き取りやすく耳馴染みのある「とうとし」を用いるのが自然ですが、古典の朗読や歴史的な文脈を厳密に再現する場では「たっとし」と読まれる傾向があります。両者の違いは「言葉の正誤」ではなく、「音便の定着プロセスの違い」に過ぎません。

十七条憲法第一条の全文と現代語訳|「続き」に隠された本質

和 を以て 貴 し と なす 読の様子・注目ショット
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この格言が持つ最大の盲点は、冒頭のワンフレーズだけが切り取られ、「和を以て貴しとなす続き」に書かれた極めて重要な条件が見落とされている点にあります。『日本書紀』推古天皇12年(西暦604年)条に記された、十七条憲法第一条の漢文および訓読の全文は以下の通りです。

【十七条憲法 第一条 全文】
「一に曰く、和(わ)を以て貴(たっと)しと為し、忤(さから)ふること無きを宗(むね)とせよ。人皆党(たけき)あり、亦達(さと)れる者少なし。是を以て、或いは父子に順(したが)はず、或いは隣里に反(そむ)く。然れども、上(かみ)和(やわら)ぎ下(しも)睦(むつ)びて、事を論ずるに諧(かな)ふときは、則ち事理自(おのずか)ら通ず。何事か成らざらん。」

この文章を現代の言葉へ忠実に翻訳すると、次のような意味になります。

【現代語訳】
「人々が調和を保ち、むやみに相手へ反発しないことを根本規範としなさい。人間には誰しも偏見や派閥意識があり、大局的な判断ができる人間は一握りしかいない。それゆえに親子の間で争い、あるいは近隣同士で反目し合ってしまう。しかし、身分の高い者も低い者も互いに穏やかに語り合い、徹底して論理的に議論を重ねて納得に至るならば、自ずと道理にかない、成し遂げられない事業など何一つないのだ。」

聖徳太子が説いたのは「異論を封じ込めて空気を読め」という同調圧力ではありません。人間が派閥(党派)を作って対立しやすい不完全な存在であることを冷徹に認めたうえで、「だからこそ上下の垣根を越えて徹底的に議論を尽くせ(事を論ずるに諧ふときは)」と説く合意形成の技術論こそが、この一節の核心です。

『論語』と十七条憲法の違いを徹底比較|「礼の用は和を貴しとなす」のルーツ

和 を以て 貴 し と なす 読の報道・詳細資料
【資料】和 を以て 貴 し と なす 読 報道・メディア記録

「和を以て貴しとなす」という言葉の原点は、聖徳太子の完全なオリジナルではなく、紀元前の中国で成立した儒教の経典『論語』学而篇にあります。有子(孔子の弟子)が遺した「礼の用は和を貴しとなす(礼の用は和を貴しと為し、先王の道も斯れを美と為す)」という一節を、太子が政治理念として換骨奪胎したものです。

儒教における「和」と、古代日本における「和」の間には、どのような思想的背景と運用の違いが存在したのか。歴史資料に基づき構造を整理しました。

項目詳細・出典データ一般的な解釈・認識編集部の見解・評価
原典・ルーツ『論語』学而篇
(紀元前5世紀頃)
聖徳太子が完全に独自考案した格言だと思われがち中国古典の卓越した教養を土台に、日本特有の統治規範へ再構築されている
文脈の目的『論語』:厳格な「礼儀・秩序」を柔軟に調和させるための手段仲良く平和に暮らすための道徳的なスローガン形式的な秩序に縛られて窒息する社会を防ぐ「潤滑油」としての位置づけ
十七条憲法の動機蘇我氏・物部氏の血みどろの内紛終結と中央集権化(西暦604年制定)国民全員に向けた道徳訓利害関係で殺し合う「特権豪族官僚」を規律し、武力抗争を議論へ移行させる行政規範
到達点と結論第十七条「重大な事は一人で決めてはならず、必ず衆人と論議せよ」リーダーの決定に唯々諾々と従う姿勢第一条の「和」から最終十七条の「合議制」へ完璧に呼応する民主的ガバナンス

当時の飛鳥時代は、仏教受容をめぐる蘇我氏と物部氏の泥沼の権力闘争を経て、天皇の暗殺(崇峻天皇)すら現実に起きた激動期でした。力を持った豪族たちが自分勝手な派閥政治に明け暮れていた時代において、「武力による私闘を即刻やめ、同じテーブルについて言葉を交わせ」と命じることは、当時の国家体制を揺るがすリアリズムに基づいた法規命令だったのです。

【実態検証】ビジネス現場での誤用と「同調圧力」を生むワナ

日本人の精神的バックボーンとして長年親しまれてきたこの言葉ですが、現実の職場やコミュニティにおいては、本来の意図とは正反対の形で濫用されるケースが後を絶ちません。

SNSや転職プラットフォームの口コミ、社内相談窓口に寄せられるリアルな証言を検証すると、「上司に『和を以て貴しとなすだろ』と言われ、業務改善の提案を却下された」「会議で異なる視点の発言をしたら『和を乱すな』と叱責された」という生々しい体験談が散見されます。古典の看板を盾にした「異論の排除」や「事なかれ主義の強要」です。

社会心理学において、調和を最優先するあまり批判的な検討を放棄し、破滅的な判断を下してしまう現象を「集団浅慮(グループシンク)」と呼びます。「空気を読むこと」「対立を避けること」を「和」と混同する組織では、次のような機能不全が慢性化します。

  • 問題の隠蔽と先送り:不都合な真実を口にする人物が「和を乱すトラブルメーカー」とみなされ、誰も警鐘を鳴らせなくなる。
  • タスク対立と感情対立の混同:仕事の質を高める建設的な議論(タスクコンフリクト)を、個人への攻撃(リレーションシップコンフリクト)と受け取り、議論自体を封殺してしまう。
  • アビリーンのパラドックス:メンバー全員が内心では反対しているにもかかわらず、「他の誰かが賛成しているだろう」と忖度し合い、全員が望まない最悪の意思決定をしてしまう。

日常の会話やビジネス文書でこの格言を類語に言い換えるなら、単なる「仲良しグループ」を連想させる協調性ではなく、「衆思(しゅうし)を集める」「建設的な合意形成」「心理的平等の確保」といった言葉が正確なニュアンスを射抜いています。

一般に知られていない盲点とネットの誤解

この格言に関してネット上で拡散されている情報には、歴史的事実と乖離した俗説がいくつか存在します。大人が知っておくべき決定的な盲点を整理します。

第一の誤解は、「聖徳太子は国民全体に向けてこの憲法を布告した」という認識です。十七条憲法は、一般庶民の道徳教科書ではありません。対象はあくまで「朝廷に出仕する官吏・豪族(貴族層)」です。当時、特権階級であった官人たちが私利私欲に走り、汚職や職務怠慢を繰り返していたため、国家官僚としての服務規程(コンプライアンス規約)として発布されたのが歴史の真実です。

第二の盲点は、第一条だけでなく「最終条」とセットで読まなければ意味が完結しない点です。十七条憲法の最後を締めくくる第十七条には、次のように明確に記されています。

「それ事は独り断ずべからず。必ず衆とともに論ずべし」(重大な事柄を指導者一人の独断で決めてはならない。必ず仲間とともに議論を尽くせ)。

つまり、第一条の「和を以て貴しとなす」は、最終条の「独断を排した合議制」と対をなす構造になっています。議論を嫌うことこそが最も「和」に反する行為であり、言いたいことを率直に交わし合って初めて「和」が成立するというのが、聖徳太子が設計したシステムの本懐です。

【プロの結論】組織社会学から解き明かす「和」の真価と向き不向きの判断基準

組織社会学および組織行動論の観点から見れば、聖徳太子の語った「和」は、現代における「心理的安全性(Psychological Safety)」の概念と完全に一致します。心理的安全性とは、チームの中で対人関係のリスクを恐れず、無知や失敗を恥じずに自分の意見や疑問を率直に提示できる状態を指します。

座右の銘としてこの言葉を取り入れる際、あるいは組織の行動指針として掲げる際には、自らが置かれた環境や個人の行動規範と照らし合わせる必要があります。

【この言葉を行動指針・座右の銘にすべき人・組織】

  • 自分と異なる利害やバックグラウンドを持つ他者の意見に耳を傾け、粘り強く対話を重ねられるリーダー
  • 上下関係の壁を取り払い、建設的な批判や課題提起を歓迎する風土を作りたいマネジメント層
  • 感情論に逃げず、客観的な事実と論理に基づいてチームをまとめ上げたいビジネスパーソン

【この言葉を避けるべき、または形骸化のリスクが高い人・組織】

  • 「和」を「同調圧力」「反論の禁止」「沈黙の美徳」として利用しがちな権威主義的組織
  • 本音を隠してその場の雰囲気を保つこと(事なかれ主義)をチームワークだと勘違いしている人
  • 議論のプロセスを省き、スピード感や強権発動だけで意思決定を押し通したいプロジェクト

【和 を以て 貴 し と なす 読み方】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:学校のテストや入試で「とうとし」「たっとし」のどちらを書いても正解になりますか?
A1:双方とも正解として扱われます。高校入試や大学共通テスト、各種漢字検定などの模範解答においても両者が認められています。ただし、学校の古典の授業で指導教員が特定の訓読(『日本書紀』の指定ルビなど)を指定している場合は、授業内のルールに沿うのが無難です。

Q2:ビジネスシーンの自己PRや就職活動の面接で「座右の銘」として使っても問題ありませんか?
A2:有効なアピールになりますが、「波風を立てない性格」という意味で伝えると主体性がないと誤解される恐れがあります。「異なる意見を持つ相手を尊重し、徹底した対話を通じて合意を形成する強みがある」という本来の文脈を添えて説明することで、高いコミュニケーション能力と協調性を説得力を持って提示できます。

Q3:なぜ「貴」という漢字なのに「とうとい(たっとい)」と読むのですか?
A3:「貴」の字は古代中国において「価値が高いこと、重んずべきこと」を意味します。これを日本語の固有語(大和言葉)で最も価値が高い状態を表す「たとし」「たふとし(とうとし)」に当てはめて訓読みしたためです。「貴重(きちょう)」の音読みと同様、かけがえのない大切な概念であることを示しています。

Q4:『論語』の「礼の用は和を貴しとなす」と意味の違いはありますか?
A4:目的の力点が異なります。『論語』は「秩序や身分規範(礼)をガチガチに適用しすぎると息苦しくなるため、調和(和)を保って柔軟に運用せよ」という人間関係のバランス論です。一方、聖徳太子の十七条憲法は「豪族同士が殺し合いをやめ、上下関係なくフラットに議論を尽くして国家をまとめよ」という具体的な政治指針・合議ルールの確立を目的としています。

まとめ:形骸化した「事なかれ主義」を脱し、真の対話を取り戻す指針

「和を以て貴しとなす」という言葉は、読み方ひとつを取っても「とうとし」「たっとし」という日本語の豊かな歴史のグラデーションを含んでいます。しかしそれ以上に、この言葉が内包する本質は「沈黙の強制」ではなく「対話の徹底」でした。

誰しも自らの出身集団や固定観念(党派心)に縛られ、異論を排除したくなる弱さを持っています。だからこそ、上下の身分に関わらず同じテーブルで事理を語り合い、納得のいく解を共創していくプロセスに価値がある――1400年以上前に提示されたこの知恵は、分断や忖度が渦巻く現代の社会構造にこそ、極めて強靭な行動原則を示してくれます。 (出典: 和 を以て 貴 し と なす 読み方(Yahoo!ニュース))

伊藤 美咲 (Misaki Ito)
トレンドデスク記者
伊藤 美咲 (Misaki Ito)

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